天才と職人
今から数十年前、僕がまだ現役で卓球をやっていたころです。
自分が選手としてプレーを続けながら、
地元の小中学生のクラブでコーチをしていました。
10年近く続けていたと思います。
子供たちがどんどんうまくなって、
そして試合で結果を出す姿を見るのは
自分が試合で勝つよりも嬉しかったものです。(*^^*)
長年子供たちをみていると
何年かに一人
「こいつ、天才やな!」
と思うヤツが現れます。
まず身体能力が抜群に高い。
身体能力の高い子は小さいころから目立ちますから、
野球やサッカーなどにいきがちです。
でもあえて卓球を選ぶ子もいて、
この子たちは他の子よりも群を抜いています。
次に吸収力が尋常でない。
プレースタイルを覚えるのがすごく早いです。
人のまねをして、自分のものにしたり
天性のボールタッチを持っていたりします。
これは練習ではなかなか見につきません。
僕がコーチをしている間、
こういった天才たちに細かい指導をしたことがありません。
しなくても出来てしまうんです。
この子たちはあれこれメニューを押しつけるよりも
本人の自主性にある程度任せた方がうまく行きます。
元々ポテンシャルが高いので
更に高度なことに取り組んでくれるんですよね。
実際こういった子たちはかなり高い成績を残してくれました。
そしてこの子たちとは真逆の子というのがいます。
身体能力はそれほど高くない。
物覚えが悪い。
ここまで書くとなんか致命的なんですが、
こういった長所をもっています。
素直で真面目
この子たちにはとにかく基礎をしっかり教えます。
来る日も来る日も基礎練習です。
結構負荷のかかることもやらせました。
他の子たちよりも厳しく当たった面もあります。
でもこの子たちはついてきます。
多分同じことを天才たちにやってしまうと
いやになって辞めちゃうところを
この子たちは努力し続けます。
そして少しずつ少しずつだけど
上達していきます。
最後にはレギュラーの2番手3番手になります。
そしてキャプテンになる子も多いです。
僕はこの子たちは職人肌なんだと思っています。
同じことを地道に何日も何日も繰り返すことで
熟練されていき、安定していく。
天才と職人、どっちがいい悪いではありません。
放任するのと負荷をかけるのと
どっちがいい悪いではありません。
これは僕の経験で得た知恵です。
まあ卓球が個人競技なので、
それぞれに合わせた指導がしやすのもありますが、
要は最終的に
「いかにしんどい練習をたくさんこなすか」
これに尽きると思います。
プロコーチとかも同じで
天才もいれば職人もいると思います。
天才コーチは自由にやる方がいいと思うし
職人コーチは地道に積み上げる方がいい。
その逆をやってしまうとうまくいかないと思うんですよね。
ただ、困ったことに天才コーチのやってることが魅力的なので
みんな同じようにしようとしてしまうこと。
天才コーチはほんとごく少数派です。
ほとんどは普通の人なので
職人コーチを目指す方がうまく行くんじゃないかな?
いずれにしても天才も職人も
やることをたくさんやり続ける
ということは、同じだとは思います。(*^^*)